実行事例

2021.12.21

北欧・フィンランドをヒントに。
戦略的な木質化による
心身に善い住生活環境の実現

GOAL

GOAL

3.4

TARGET

2030年までに、非感染性疾患による死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する。

GOAL

GOAL

8.4

TARGET

2030年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。

GOAL

GOAL

11.3

TARGET

2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、全ての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。

01

自然と住まう。
人々に根付いた
ライフスタイル

SDGs、ESG・・
日本国内で本格的な取組みがはじまる前から
北欧・フィンランドでは、大きな関心が寄せられ、
自然を敬い、調和する人々のライフスタイルに
受け入れられてきました。

「自然×ライフスタイル」のひとつに建築があります。
国内の森林面積が7割を超えるフィンランドでは、
建築材料として木材を使うことはポピュラーな選択肢であり、
800年以上の歴史を持つフィンランド建築の象徴になっています。

実際に戸建て住宅の90%は木造で、
大規模な現代建築物にも積極的に木が用いられており、
木を使った美しい内装とユニークな外装は
北欧建築の象徴として世界中の人々に
想起されるものになっています。

日本でもブームになっているフィンランド式サウナ。
これもフィンランド木製建築の根を持つ立派な文化施設です。
実行事例

02

木と過ごす時間。
世界の関心。

木(材)に囲まれた空間で
1日あたりどれくらいの時間を過ごしているでしょうか。

住宅、会社、学校、スーパー、コンビニ、公共施設、娯楽施設・・
日本国内で多くの時間をそういった環境で過ごすことは
容易ではないかもしれません。

しかし、前述のフィンランド、
加えて森林面積が1割程度と乏しいイギリス国内でも
木の豊かさを感じることのできる建物が増えています。

なぜ、世界の関心が「木の建物」に向いているのでしょうか。

そのひとつとして、「カーボンニュートラル」へのコミットが挙げられます。
現代の生活において、温室効果ガスの排出を避けることは難しいですが、
排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現のために、
CO2を吸収固定する希有な存在として森林や木材が重要視されています。

最近では、まちづくりの観点からも木の利用は注目されており、
CO2の排出が著しい都市を木質化することによって、
「第2の森」をつくる考えも出てきています。

木の建物への関心の理由は他にも、美しさや快適性など様々ですが、
フィンランド・アアルト大学での研究キャリアを持ち
建築士でもある坂口大史准教授は、内装が木質化されることによる
利用者への「心理効果」に着目して研究を進めています。


※木質化=建築物の構造耐力上主要な部分に木材を用いること、
 また天井、床、壁等の内装や外壁等に木材を用いること。
 ここでは後者の意。
実行事例

03

ストレスを減らして
より健康的に、
より能率的に。

目で感じる木の温もり、鼻で感じる木の香り、独特の手触り・・
人間の感性に寄り添う木の豊かさは、
ストレスフルな日本においては特に有効かもしれません。

坂口准教授は、日本福祉大学及び愛知県半田市内の
3施設(地域拠点施設、子育て支援施設、就労支援施設)において、
簡易木質化キットを用いた以下3点の実証実験を行ないました。

①単純作業・創造作業テストの実施及び支払意思に関する統計解析による
 生産性・経済面への効果
②脈拍数、ストレスホルモンの測定と心理アンケートの分析による
 心理面・身体面への効果
③気温、湿度、表面光、蓄熱、吸湿換気効果測定による屋内環境に及ぼす
 効果の実証

その結果、どの対象施設においても効果の差があるものの、
木質化の有無によって、体調・疲労感・集中力・満足度に関する
テストのスコアが概ね改善し、
唾液から解析するストレスホルモンの値も
減少傾向であったとしています。
支払い意志額もわずかながら向上したことから経済性にも
一定の効果が見られたとしています。
実行事例

04

女性活躍 にも
リーチする
保育所
内装木質化

林野庁の助成事業の取組みとして
最近では、心理効果の測定を目的に
愛知中央ヤクルト販売株式会社の従事者用、
その多くは「ヤクルトレディ」と呼ばれる
従事者を対象にした保育所2か所の
内装木質化が実施されました。

坂口准教授がすすめる木質化パッケージには、木壁に本棚や
ディスプレイ台などのオプションを組み込めるのが特長で、
今回も、子どもたちが遊べる木琴や木製ホワイトボードが
設置されています。

子どもたちの反応は早くも上々で、
今後、ストレスチェックを通した心理効果実証が
本格的に行なわれる予定です。

ヤクルトレディのプロモーションを通して
女性活躍を早くから支えてきたヤクルト社。
子どもたちを心地よい環境で育み、より安心して働ける環境づくりへ。
木質化に寄せられる期待と効果は、横断的かつ幅広いものになっています。
実行事例

05

おしらせ

現在、愛知県半田市亀崎の「3軒長屋」にて
坂口ゼミ生による木質空間の実証実験を実施しており、
実験に協力をいただける方を募集しています。
内容は、ストレスや脈拍測定、簡単な作業です。(1時間程度)

協力者は、実験後に同施設内にある
「珈琲みよし」さんの飲み物と
「Lico」さんのフランス菓子の引換券がもらえます。

木質化されたおしゃれな空間で一息つきながら、
実験にもお力添えをいただけますと幸いです。

ご協力いただける方は担当者までお申し込みをお願いします。
<担当:吉川、hd180627@n-fukushi.ac.jp
※実験期間は、1月初旬までを予定しています。
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